愛読書を外国語で読む

自分の好きなライトノベルを英語で読んでみたら、かなりいい勉強になったので、いろんな人に勧めたいと思ったので書く。英語を読むことの習慣化に悩んでいる人に試してみてほしい。

英語以外の外国語を勉強している人は、英語を適宜勉強している言語に読み替えてほしい。

ルール

読む作品の選定は次のように選定すると良いと思う。

  • 英語に翻訳されているか、原著が英語である
  • 日本語で読んだ作品を読む
  • 何回も読み返している作品があればそれがよい。そういうものがなければ、もう一回読み返したいと思っている作品がよい。
  • 高尚な文学作品である必要はない。自分が好きな作品であることが重要
  • シリーズものであっても、自分の好きな場所から読んで良い

次の条件は絶対ではないものの、したがった方が良いと思う。

  • 電子書籍で購入できる(辞書を引くのが簡単であったり、Kindleのword wiseのような便利な機能があったりする)
  • マンガは避ける(読む英文の量が少ない。また、簡略表記が多用されていてわかりにくいことがある)

自分はデスマーチからはじまる異世界狂想曲という作品で実践している。知らない人のために簡単に紹介すると、主人公が最強でハーレムを形成している典型なろう小説である。

どんなことがよかったか

自分は、以前、読んだことがないライトノベルを英語で読んで数巻で挫折した経験がある。その時と比べて、次の利点を感じている。

  • 好きな本を読んでいるという確信がある
  • ストーリーを把握しているので、英文として読解できなくても、どんなことを言っているかがわかる
  • 上手な訳を見つけるのが楽しい。誤訳を見つけるのも結構楽しい
  • 母国語よりも慎重に読むので、読み飛ばしていた内容に気がつくことがある。

好きな本を読んでいるという確信がある

慣れない言語で文章を読むのはしんどい。自分の好きなことに関係がなければ、モチベーションが湧かないし、継続もしない。

しかし、好きなジャンルの本であっても、好きな作品もあれば、嫌いなものもある。映像化されたものは好きであっても、原作は好きになれないということもある。

慣れない言語で、好きかどうかもわからない作品を読み進めるのは、かなり精神力を使う。その点、母国語で読んで気に入った作品であれば、自分がその作品を好きであると安心して読むことができる。好きな作品であれば、継続して読むモチベーションも湧く。

ストーリーを把握している

外国語で書かれた文章を読んでいると、「こういう意味なんだろうけど、ちょっと自信がない」「この表現の意味がさっぱりわからない」という状況になることがたまにある。辞書を引いたり、インターネットでけんさくしたりすると時間がかかるし、確信に至れないこともある。

日本語で読んだことがある本であれば、日本語で書かれていた内容を思い出して、「英語ではこう表現するのだ」と確信を持って先に進める。最悪の場合でも、日本語版と英語版を見比べることができる。

上手な訳・誤訳を見つけるのが楽しい

母国語で読んだことがあり、ストーリーを把握していれば、上手な訳や誤訳を簡単に見つけることができる。

上手な訳を見つけると、「英語ではこう表現するのか」という勉強になる。例えば、日本特有の文化をうまく英語圏の文化に置き換えていたり、「にゃ」という語尾をつけて話す猫耳のキャラクターにnewではなくmew(英語での猫の鳴き声はmeow)と言わせていたりする。

誤訳を見つけると、翻訳という作業が難しいことがよくわかる。印象に残っている誤訳には次のようなものがあった。

  • 「蚊帳の外」という表現を使っているところで、一生懸命、蚊帳の説明をしていた。仲間はずれにされているという表現なのに。
  • 作品の専門用語の訳が安定しない。自分が読んでいた作品には、魔族と魔物がいたが、始めの2巻ではそれぞれhell demonとdemonだったが、それ以降はdemonとmonsterになった。

なお、キャラクター名を間違える、役職を間違える、性別を間違えるといったしょうもない誤訳も結構ある。

母国語よりも慎重に読む

母国語は読み慣れているので、知らず知らずのうちに読み飛ばしてしまっているらしい。例えば、白熱する場面であれば続きが気になりどんどん読み進めていくこともある。

慣れない言語で読んでいると、(すでに内容を知っているとしても)ゆっくり慎重に読むことになる。その結果、母国語で読んでいた時に見落としていた事実に気がつきやすくなる。実際、「こんなことあったっけ?」「誤訳じゃないのか?」と思って日本語版を確認した結果、自分が単に読み飛ばしてしまっていただけということが数回あった。

同じ本を2冊買うことについて

最後に、すでに持っている本をもう一冊買うことに抵抗がある人のために、自分が実際に使った言い訳を共有する。

  • これは外国語という重要なスキルを身につけるための自己投資である。
  • また、作者と作品に対するお布施である

以上、自分と同じく英語を読む習慣がなかなか身につかなくて困っている人の参考になればと思う。